こんにちは、認定超音波検査士を持つ現役臨床検査技師のおはるです。
特に超音波検査士 体表領域は参考書や試験対策本が少なく、筆記試験の勉強法に悩む方を見かけます。この記事では過去4年の出題から導いた試験傾向と対策について解説していきます。
また、受けるか悩んでいる方へ超音波検査士認定試験の受験条件や試験内容はこちら。
出題傾向を抑えて勉強すれば大丈夫だよ、一緒に頑張りましょう
まず始めに・・・試験内容を確認する
試験は、書類審査と筆記試験2科目「体表領域」と「医用超音波の基礎」の3つがあります。医用超音波の基礎については別にまとめますね。
試験内容ー書類審査ー
書類審査では、指定された疾患に対して指定された数のレポートを作成し計20症例とします。
- 乳腺疾患 6例以上
- 甲状腺疾患 5例以上
- 副甲状腺(上皮小体) 2例以上
- その他
体表領域は「超音波実績作成の手引き」に疾患例が記載されています。加えて、他の具体的疾患は超音波検査士研修ガイドラインを参照しましょう。「よくある質問」ページも、読むと参考になりますよ。
試験内容ー筆記試験ー
試験内容は日本超音波医学会作成の「超音波検査士研修ガイドライン」です。確認すると分かりますが、試験は体表領域の超音波検査を行うのに必要な知識すべてが対象です。
対象臓器は乳房、甲状腺、副甲状腺(上皮小体)、頸部(甲状腺・副甲状腺を除く)、唾液腺、胸壁・運動器軟部組織(皮膚、軟部組織)。
内容は、解剖や良悪性腫瘤、炎症性疾患、検査手技などとあります。
試験時間70分で問題数は35問、60%正解で合格なので、21問以上正解する必要があります。さらに5つから2つ選ぶ問題も部分点はないので、自信を持って答えられるようにしておきましょう。
傍神経節腫や関節病変も範囲だよ。
漏らさず丁寧に学習しよう。
筆記試験の傾向
体表領域は、特に乳腺・甲状腺を極めましょう。それだけで約半分ほどの出題率となります。
2018年から2023年の出題傾向を見ると、乳腺・甲状腺は問題集でよく見る腫瘤性病変が多いです。したがって問題集で知識を入れれば、数問目新しい問題が出ても無理なく合格が目指せる印象です。
加えて他臓器ですが、画像から疾患を推測+幅広く腫瘤の特徴を知る必要があるので、出来るだけ多く画像を見て慣れる必要があります。
超音波検査士 認定試験過去4年のおおまかな臓器別出題数をまとめました。
特に体表領域は、受験者が少なく過去問の入手が難しいです。周りに受験経験者がいたら試験内容をぜひ聞いておきましょう。
2018 | 2021 | 2022 | 2023 | |
乳腺 | 14 | 13 | 11 | 15 |
甲状腺 | 5 | 7 | 8 | 7 |
副甲状腺 | 1 | 2 | 2 | 1 |
唾液腺 | 3 | 2 | 2 | 5 |
リンパ節 | 5 | 6 | 3 | 4 |
頸部・表在 | 4 | 3 | 6 | 1 |
手技(エラスト等) | 4 | 2 | 4 | 5 |
2024/06/02現在、日超医による問題集は出版されていますが過去問は出版されていません。
「認定超音波検査、問題、掲示板」で検索してみて下さい。
数年分の過去問は手に入ります。しかし受験者達が心の安心の為に載せ合っている情報のため、真偽は不明です。また、受験直前は見るほど焦るので、気になる方は早めの検索をお勧めします。
計画を練ろう
試験内容が分かったら、次は計画を立てましょう
書類審査に向けて
認定超音波検査士 書類審査までにやること
超音波画像が綺麗でないものは、早めに諦め次を探しましょう。
なぜなら、書こうと思えばかける症例でも試験用と思うと自信がないものは結局提出しづらく、書きやすい症例ほど1日でサクサクかけて且つ分かりやすいレポートになりやすい傾向があるからです。
焦ると1症例に対して粘りがちですが、他検査データがそろっている症例が圧倒的に書きやすいです。サクサクふるい落として次に進みましょう。また、誤字脱字は大幅減点との記載がありますので厳重注意ですよ!!
体表領域は特に、医学会のガイドラインを参照するようにと明記されています。
現行分を貼ったので一読してください。どれもA4サイズ1-2枚なので毛嫌いせず読んじゃいましょう。
医学会の体表領域現行ガイドライン
・乳房非腫瘤性病変ガイドライン(2023年8月4日公示)
・甲状腺結節(腫瘤)超音波診断基準 (2011年12月15日公示)
・乳腺疾患超音波診断のためのガイドライン -腫瘤像形成病変について- (2005年7月15日公示)
・縦隔腫瘍エコーパターン分類 (2002年4月29日公示)
筆記試験に向けて
認定超音波検査士 筆記試験までにやること
まずは問題集を解きましょう、参考書をまとめるのはその後で大丈夫です!
やる気も時間も有限なので、自分の苦手を知ることが。
参考書の表をコピーしてノートを作ると勉強しやすいです。試験当日も、焦っていても安心をくれる良い相棒になるはずです。
試験範囲全体に特化した参考書は下に張ったので上手に活用しましょう。
また、臨床検査学会や超音波検査学会から定期郵送される資料には最新情報や流行などが載っていることもあります目を通しておきましょう。
何を使って勉強するか
「参考書」と「問題集」を準備しましょう。
焦ると「時短・効率的」言葉に惹かれますが、ガイドラインが正攻法です。さらに体表の参考書は要点がまとまっており視覚的にも理解しやすいです、上手く活用しましょう。
体表領域に合格した同僚や受験者が見ていたのは以下の参考書です。
おすすめ参考書
①日本乳腺甲状腺超音波医学会 甲状腺超音波診断ガイドブック
ガイドラインを元に作成された日本乳腺甲状腺超音波医学会のものなので安心して使用できます。エラスト含め細かく網羅されているので、初心者にも試験対策にも不可欠な一冊です。
②乳房超音波ガイドライン(改定第4版)日本乳腺甲状腺超音波医学会
ガイドラインなので一読必須ですね。
2018年に「乳癌取扱い規約」が改訂(第18版)され「乳腺腫瘍の組織学的分類」が大きく変わりましたが、こちらはそれに対応しているので安心です。
③Medical Technology別冊 超音波エキスパート21 皮膚・軟部腫瘤の超音波アトラス 2022年
体表(皮膚・皮下、リンパ節、表在・末梢動静脈、神経、筋・靱帯など)の多くの超音波画像が載ってます。超音波所見、鑑別のポイントがまとまっており日常的にもオススメ。
問題集
①超音波検査士・超音波指導検査士認定試験問題集(第4版~第5版)
超音波検査士 認定試験を主催している日本超音波医学会編集の問題集です。アウトプットの練習はこれ以外ないと思います。体表は類似問題の出題も多いです。知識に自信がある方も1問2分で問題を解き慣れる為にやりこみましょう。
安くないですが、医用超音波基礎含めて全領域載っています。
複数領域を受験するほどお得ですね。
多くの受験生が4~5版をやり込んだってことは…
新版が出てもまだまだ将来使い道ありそうだね
さいごに
体表領域は腫瘤の正常評価が出来ることが必須です。
臨床経験だけでは不安な方もいるかと思いますが、上記参考書や日本超音波検査学会のEラーニングなどを上手に活用して試験に挑みましょう。
受験理由はそれぞれかと思いますが、受験勉強は絶対に自分にプラスに働きます。最後まで頑張って下さい!
早速レポートが書けそうな症例を探してみよう!
頑張って!更なるステップアップを応援してるね
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